常々、子どもたちには算数を〝好き〟と思ってほしいと考えて授業を行っています。算数好きを増やすポイントは、教師が一方的に教え込み、子どもたちは覚えるという授業スタイルではなく、子どもの経験や素直な反応を引き出しながら学習内容につなげていくように指導するところにあると考えています。
4年1組の算数では、「概数」の学習に入りました。子どもたちはこれまで、数量を詳しい数値で表すことを当然のこととして行ってきました。つまり、概数でとらえて表すのは、本単元が初めての経験となります。それでも初めから一方的に概数を教え込もうとするのではなく、いかにして子どもの素直な表現を引き出すかということにポイントを置いて授業を行いました。そして今回、子どもが素直な表現を始めていく〝仕掛け〟として用意したのが、神経衰弱でした。
「神経衰弱をやろう」と話すと、子どもたちは大盛り上がり! しかし、すぐに子どもたちはほっぺたを膨らませて、「できないよ」と話してきました。実は子どもたちに配ったカードには100〜150の数字が1つずつ別々に書かれてあり、同じものがなかったのです。そこで、「今日は〝だいたい同じ〟だったらカードがもらえる神経衰弱をやろう」と話しました。
では、どのカードとどのカードが〝だいたい同じ〟になるのか、100〜150の数字を見ながらみんなで考えていきました。子どもたちから出たアイデアは、例えば100〜109だったら、100〜104が「だいたい100」。106〜109が「だいたい110」。そして105のように一の位が5の真ん中にある数は、105だったら「だいたい100」でも「だいたい110」でもどちらでもよい、都合のよい方を選ぶことのできる「特別なカード」という見方でした。写真は、このルールにしたがって神経衰弱に取り組んでいる様子です。「『123』だから「だいたい120」、もう片方は『137』だから「だいたい140」、ざんねーん!」「『109』と『113』はどっちも「だいたい110」、やった!」どの班もとても盛り上がっていました。
授業では、最後に改めて黒板を見てみて、「「だいたい100」にした100〜104は数字が5つ。「だいたい110」の方は106〜109で数字が4つ。バランスが悪いから、105を「だいたい110」の方に入れれば、数字の個数は5つと5つになる」と話した子どもたち。四捨五入を教えるタイミングの到来です(^^)